「ココにいるのは、異常な人ばかりね。
私が普通に思えてきたわ。
ねぇ智也、もうイイ加減、『朋香』は出て来ないと思うわよ。
だってあの子、通の死を想い出したんだもの。
光弘の生死も確認出来てないし、きっと殻に篭ってるわ。
私が代わりに生活してもイイでしょ?
こうやって皆も知ってくれたコトだし。」


と、雫は智也の左頬に自分の頬をくっつけながら言った。


「雫、約束は約束だろ。
それにわざわざ皆を不愉快にさせる為に君の事を話したんじゃないよ。
”朋香ちゃんを助ける”
そう決めた事だろう?」


林先生は雫の頭を撫でながら言った。


「はぁい。
じゃあ、皆、さっさと言いたいコトは言い合って、このギスギスした空間を何とかしましょうよ。
じゃないと『朋香』が出てきた時に、あの子、どうなるか分かんないわよ。」


雫は黒髪を指に巻き付けながら言った。


そう、確かに何かを解決する為に集まったのだが、どこから手を付けて良いのか分からない。

何よりも、こんなに信じがたい事を聞いた後では、頭の整理も付いていってなくて、ただただ混乱するばかりだった。


「まぁ、でも仕方ないわよね。
光弘は智也の言った言葉にカッとなって『朋香』を傷付けた。
その仲直りをしたいのに、肝心の『朋香』は出て来ない。
瑠璃子は雄一さんと間違えて光弘に抱きついたところを『朋香』に見られた。
ソレを謝りたい。
美穂は私と一緒にいたいんでしょうけど、智也が邪魔。
真朝と大輔に至っては、何でこんなコトに巻き込まれてるのか分かんないだろうし。
どうしようもないわね。」


と雫は話をちゃちゃっとまとめて、また嘲った。