「うん、そうなの。
でも、ちゃんと光弘に聞いてみる。
私が何か不快な想いをさせたのかもしれないし、確かめてみないと何も変わらないから。」

少し強気な口調で朋香が言った。


「うん、大事な事だね。
頑張って!」

と真朝が言った。


「こうやって皆に聞いてもらえるから、頑張ろうっていう気持ちになれるんだ。
ありがとう…」

朋香が少し照れながら言った。

朋香のこういう正直なところが皆、好きなのだ。



その一方で瑠璃子は、朋香の綺麗な部分を見せ付けられ、自分がいかに汚い人間であるかを突き付けられたような気分にもなった。

まだ何も解決していないはずなのに、朋香の少しスッキリしたような顔が憎らしい。

私も皆に話せばスッキリするんだろうか?


いや、私の場合は違う…

皆きっと、軽蔑するに違いない…


机の下で、瑠璃子は震える手をぎゅっと握った。



だけど、今更引き返せやしない。

真朝が全てを知っているから、嘘も付けない。


(私って往生際が悪いな…)

と瑠璃子は、自分で自分を嘲笑った。


すると、美穂が瑠璃子のそんな様子を察してか、

「瑠璃子、別に無理して話さなくても良いのよ?
私達だって興味本位で聞いてる訳じゃないんだし。
瑠璃子が今は相談する時じゃないと思うなら、その予感に従う事だって大事だと思う。」

と声をかけた。



瑠璃子は息が詰まりそうだった。


妻子ある人と恋仲になった事
それを今まで皆に隠していた事


元々、自分は”正常”ではないのだ。

雄一との事が始まった時に、いつか傷付く時が来るのを覚悟したように、大事な3人の友達を失うかもしれない事も覚悟しなければならない。

その位の罰を受けて当然の事を、自分はしているのだから。


そんな自分に優しい言葉をかけてくれる皆。

これが最後かもしれないと思って、瑠璃子は話す事を決意した。


「実は私…」