グラウンドの隅に座っていた4人のうち、真朝が口火を切った。

「後夜祭、終わっちゃったね…
皆、片付けは良いの?」

真朝の演劇サークルは午前中のうちに全部片付けてある。



「うん、うちらは免除してもらってるから。
演劇手伝うからって。
演劇サークル様々だよね…」

フッと瑠璃子が笑った。

ようやく瑠璃子が、力なさ気でも笑顔を見せたので、真朝は少し安心した。


しかし、これで解決した訳ではない。

むしろ、これからが始まりなのだ。


そうは言っても、まずどこから手を付けて良いのか分からない。

朋香と美穂には伝えて良いものか。


それにどう見たって、朋香だって落ち込んでいる。

光弘がこの場にいない事に何か関係があるのだろうか。


「この後どうする?
一応、演劇サークルの簡単な打ち上げがあるけど…。
明日から冬休みだしさ、時間は気にしなくても良いじゃん。
あ、美穂は駄目か…」


「ん…それよりも、正直に言って良いかしら?」

と美穂が切り出した。


「朋香も瑠璃子も真朝も、それぞれ何かあったように思うのだけれど、気のせいじゃないわよね?
それはお互い、個々に解決した方が良いもの?
それとも皆で話をした方が良いのかしら?」


美穂は、朋香が落ち込んでいる原因が光弘にある事は知っているから良いとして、瑠璃子と真朝の原因は知らない。


美穂の提案に、瑠璃子が実に悩んでいるように見えた。

そんな瑠璃子を、真朝が気遣うような目で見る。


美穂はそれだけで、問題を抱えているのは瑠璃子の方だという事を見破った。

まぁ、真朝が深刻な問題を抱えているという状況になった事が、この2年間で1,2回程しかないというのも推測の原因の1つなのだが。


「私…皆に聞いて欲しい事があるの…」


瑠璃子がようやく答えた。


「じゃあ、皆、明日ランチでもしましょうよ。
下の交差点の角に新しくオープンした喫茶店に12時集合ね。」


美穂が上手く話をまとめて、その日は解散になった。