私は理事長室を出て、一先ず教室やトイレを捜した。

鞄はあったし、校内に居るとは思うんだけど…。



「さゆー?さーゆー?」



闇雲に捜したって仕方ないけど、さゆは怒ったら厄介な子だから。

1人で泣いちゃうんだ。

感情のコントロールがあまり得意でないのか、泣いてしまう。

そこが可愛いんだけどね。

私は携帯を取り出し、鳴らし続けながら、ひたすら走ると、体育館裏で見付けた。



「はぁ…さゆ…」



もはや歳かも知れない。

息が切れた。



「――……っ!!」



もう走りたくない私の前から逃げようとするさゆ。