パトカーに菊田さんと乗り込むと、私の名前を呼ぶ。

涙を流す私の横で、菊田さんは窓を開けた。



「梅田!久しぶりだな」



「そう…だな…」



「嫁さんは、俺に任せてくれな」



それだけを言って、窓を閉める菊田さん。

指輪を私に握らせる。



「……う…うぁ゛ーん…っ……!!」



今までで一番、私は泣き叫んだ。

外に漏れる声に、「「「『姫菜ー…っ…』」」」と、みんなの涙を誘ってしまった。

自分の愚かさが、よくわかった。

そして、私がどれだけ愛されてるのかも。



「出して下さい…」



菊田さんが、私の頭にジャケットを掛けながら言う。

…さようなら、みんな…。