「…ごめん、姫菜…」



なのに、出来ない。



「…っ…」



隆斗の笑顔、両目でちゃんと見たい。

片目じゃ、隆斗の幸せを見れないよ。

疲れちゃうよ。

私の手にあるナイフが、隆斗に寄って抜かれた。

ーーチャリーン

ナイフは地面に落ち、けたたましい音を起てる。



「「「『姫菜っ!!』」」」



「「「『先生っ!!』」」」



駆け付けてくれた生徒たち。

生徒たちの間を入って来た警察。



「君は馬鹿だよ…。でも、愛されてる子だ…」



私の腕に手錠を嵌めた菊田さん。

私は、「ごめんね…」と、みんなに頭を下げた。