俺は何も知らなかった。

いや…気付けなかった。

「すいません!!」と教室を飛び出し、慎を呼び出し、2人で【KING】のたまり場へと走った。

何か後ろからやたら足音が聴こえるけど、振り返る余裕がない。

あの日を繰り返させない。

姫菜を守ると決めたからには、行かないといけない場所がある。

―――姫菜、ダメな俺が旦那でごめんな。

今から助けに行くから、無事で居て欲しい。

姫菜が死にかけるとか、死ぬとか、俺には考えられないんだよ――…。