豊は私の話を沢山聞いてくれた。
学校の事…友達の事…家族の事…
豊が私の話を沢山聞いてくれるから、私も豊の事を沢山聞いた。
豊は自分から語る様な人では無いけど、聞いた事には隠さず一つ一つ教えてくれた。
私が不安な時は、
「音和なら大丈夫。俺がついてる」
と優しい笑顔で言って安心させてくれた。
私が嬉しい時は、
「やったじゃん!」
と自分の事の様に嬉しそうにしてくれた。
豊は私が欲しい時に欲しい言葉を言ってくれたんだ。
その内その言葉が、豊だから嬉しいんだ、豊だから欲しいんだと気付いた。
「豊が好きだ」という気持ち…
その想いに戸惑う私に、いつもの様に豊が「どうしたの?音和」と聞いた。