…豊さんの彼女…
少し気になった。
俺と同じ歳らしい彼女。
区域で中学は違うが、高校は同じところを目指してるらしい。
名前は…音和…
音和……?
俺が名前を聞いて、考え事してるのに気付いたらしい豊さんは、凄く勘が鋭い。
その時にもう、俺達が小さい頃出会っていた事に気付くなんて。
豊さんは、音和との話をしてくれた。俺が聞きたいのをわかってくれて…
豊さんは、本当に音和を大切に思っていた。
感情移入という物が俺にもあったのか…豊さんと音和だったからか…
俺は段々に音和へ興味が湧いた。
音和は薄いピンク色が好きだとか、
笑顔が満開の桜みたいだとか、
真っ直ぐな性格で実は芯が強いんだとか、
俺は音和の存在に凄く助けられたんだとか、
豊さんから音和の悪い事は聞かなかった。
でも年が明けたある日から…
今まで惚気の様に音和の事を話してくれてた豊さんが、
真剣な顔で言った。
「音和を支えてやってくれ」
と……