豊だ…この字豊の字だもの……
「馬鹿…人の名前を公共の物に書いて…」
口ではそう言うけど、
確かな豊の足跡に嬉しかった。
そんな私をジッと優しい目で見つめた優也。
何だろう……日頃無表情なのを知ってるから……
そんな目で見られればドキドキした。
行き場の無い目を泳がせていると……
「次行こう」
と私の左手を繋いで歩き始めた。
「次は?」
と、手を繋いだまま優也に言われて、
「えっとー」
と紙を開く。
―――――
2.中庭の白いベンチ。
―――――
二人で手を繋いだまま中庭へ向かう。
中庭は綺麗に整備されてて、花壇に花が咲いていたり、ベンチが数ヶ所あり、いこいの場みたいになってた。
でも白いベンチは中庭中心に設置された一つだけだった。
優也と並びながら腰掛ける。