「アクセって…」
私は自分のしているネックレスを見つめた。
「そうそれ。雑誌見ながら、これは似合わない…これは予算外…とかブツブツ言って、やっとアイツが納得したのがそれ。
俺さ、そこまでアイツを変えた音和ちゃんに会ってみたくて、アイツに言ったんだよ。
そしたら『このアクセ付けてる子が春に来るから』って言ってて、中々会わせようとしなかった。
勘の良いアイツだから、今になってこういう事かって理解した。
俺、アイツの葬式行ったけど、アイツの葬式なんて参加したくなくて、外に居たんだ。だから音和ちゃんにも会わなかった。
そういう俺の気持ちも知ってたのかもな…」
矢野さんは、豊を思い出しているのか、天井を見上げた。