「行こう?」
山岸君は私の裾を掴んで、私を立たせると、裾を掴んだまま歩き出した。
廊下に出ると階段を登ろうとする山岸君。
「山岸君、職員室は下だけど…」
私の問い掛けに「優也って呼んでって言ったじゃん」と、また別の答え…
だから次は
「ゆっ優也、職員室は下…」
と名前に変えて言う。
「あれ嘘だから」
……嘘?
一番上まで行き、屋上の扉を開けて入って行く優也に続いて、
私も屋上に行く。
「何で……」
私は細い声で優也に聞いた。
優也はその問いに答えてくれなくて、変わりに腕が引っ張られる。
そのまま身体は優也に抱きしめられる。
何でだろう………
離れたいのに離れられない。
豊以外の人に抱きしめられた事なんてないのに……安心する……