「何か元々身体が弱かったみたいで、先輩たち皆残念がってる……皆その人の事大好きだったって」
耳鳴りがするのに女子の声が耳に響く。
私は席に座ったまま、金縛りにあったみたいに動けなかった。
「その人の名前は……」
いやっ!ヤメテヤメテヤメテ!
「音和!!」
その声で、痺れた身体は自由になる。
目の前で、私の顔を覗くのは山岸君。山岸君が私を呼んだらしい。
彼は大きい声で私を呼んだ様で、
噂話をしてた女子は勿論、クラスに居た皆が私たちを見ていた。
隣の席からは、明日香と華那が心配そうにこちらを見ていた。
「えっ…わたっ…私……」
焦って声を出す。
「先生が呼んでた…音和日直でしょ?ボーッとしてて返事しないから…」
山岸君が黒板を指して言うと、
皆が「な~んだ」とか「びっくりした」とか言いながら、また自分たちの雑談を再開した。