「優…也…?」


訳が解らず言われたまま呼ぶと、


山岸君は「ん」と無表情な顔から、少し柔らかい顔をした。

そのまま私の頭をガシガシ荒っぽく撫でると、一人で入口に行く。



「えっ!ちょっと!」


質問に答えて貰えず、髪の毛も乱れた私が山岸君を呼ぶ。



彼は、こちらを見て

「音和は柔らかい顔が似合うよ」

と言って出て行った。



柔らかい顔……?




確かに豊が死んでから、顔が強張ってるのを感じた。
普通にしてたら泣きそうだったから。


屋上に来たら、景色への驚きで顔の強張りが取れて、自然な顔でいれたようだ。



山岸君はそれに気づいて……




彼が私にしてくれた事……エゴなのか、目的があってなのか解らない。



不思議な人…………