声掛けてきた彼は、何故か私をみよじでは無く名前で呼ぶ。


大体慣れない人は「武内」とか「武内さん」とか呼ぶものだと思ってたけど、不思議な彼の中では違うのかもしれない……もしかしたらみよじが解らないのかもしれないし……




「何?」


返す私に、クルッと後ろを向いて、階段を登りだす山岸君。


「来て」


どんどん進む彼に着いていくしかないようだ。





山岸君は階段を登り続けて、扉の中に入って行った。




続けて入ってみれば、生暖かい風が身体に当たる。



「屋上…」



そこは学校の屋上だった。