「お嬢様…」


頭上から、はぁと呆れたため息が聞こえた。


零のくせに…零のくせに何よ!!


よく分からない感情が一気に溢れ出す。

零への怒り、学校への嫌悪、自分への甘さ。


布団から顔だけ出して、睨むように零を見つめた。


「学校なんて私には鬱過ぎるの、行く意味なんてないわ」

「そのように逃げ続けて、もう1か月になります。いい加減行っていただけなければ卒業できませんよ?」

「……じゃあ、教室の男全員排除しなさいよ」



「はい?」


眉をしかめる零に続けて言う。

「気持ち悪いのよ、あの生き物。アンタよりも厭らしい目で舐めまわすように見てくるのよ!?」


" 男 "汚らわしい生き物。


己の欲求を満たすために、女、女、女。




お父様のあの姿を見てから…私は―――



「何故…泣いておられるのです?」

「……は?」



気がつくと、揺らいでいた視界。

零の整った顔も涙のせいで歪んでいる。