「ぅ…あっ! ごめん…」



一応謝って、スタスタと歩く足を速める。


なんでキスができて…

手は繋げないのよ~~っ!!!



「何故謝るのです? ……仕方ないですねぇ」



ため息とともに、握られた右手。


身体中の神経が右手に集中する。


もう何がなんだか……

恥ずかしい。



「繋ぎたいなら繋げと一言、言ってくださればいいのに」



小言を漏らす零。

相変わらずすぎるわ……


ちょっとひどくなったくらいに。



「別に繋ぎたいなんか思ってない……」



言い終わる前にぱっと右手が開放された。


なんで離すの…?


零を見上げると、にっこりと妖艶な笑みであたしを見下ろしていた。


とても意味ありげに。