5/6



「こちらの格好なら少しは悪魔らしく見えますか?」

「………」

「スーツにしたのが裏目に出てしまったようですね」

「……ど、どうやって!?」


まるで手品のようだった。

彼の服装はサラリーマンスーツから気品のある伯爵風へと変わり。

貴族を思わせる洋風な出で立ちだ。

むしろ、悪魔というより吸血鬼を連想させた。

鈴子は彼を見て、もう営業マンや押し売りだとは思えなくなる。

明らかに異質なオーラを纏っていた。

妖艶でいて、魅惑的…


「手品師…な、わけないよね…」


パフォーマンスだと思いたかったが彼の雰囲気がそうさせない。

呆然とする鈴子に水野はお辞儀をした。



.