「悪魔さんて友達いなさそ…」

「……」


水野は唐突な言葉に黙った。

何故そう言われるに至ったかを考えているのだ。

実際"友達"とは無縁だが…


「実は、見た目の割りに性格わるかったり…」

「ああ。成る程」

「?」


水野がポンッと手を打った。

予想外の反応に眉をしかめる鈴子。


「今まで見てきた私は仕事用、本性は悪魔そのものだと、そういう事ですか?」

「えっ?まぁ…」

「そうですよ」

「即答!?」


公私をキッチリ分けれるのは優秀な証拠だ。

そこに関しては特別文句はない鈴子。

本性がどれだけのものかは気になるところだが…


「公私を使い分けるのは当たり前の事。まぁ、本性の是非は別問題ですが」

「意地悪そうですね…」

「"公"ではなく"私"が見たい、と?」


足を止めた鈴子が水野を見上げる。

思わず身構えてしまった。


「もう駅ですから、私はこれで失礼します」


それだけ言うと改札へと滑り込んで行く。

公私の話しはもう興味薄のようだ。

"私"が見たいか?に対し、

まさか真面目に返答されるかと思った水野。

身構えて損した。と、

一息ついて来た道を帰った…



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