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また一週間が始まる…

親さえも丸め込み悪魔が居座りだしてから何度目かの月曜日。

学校の支度をする鈴子。

それを眺める悪魔が居た。


「本当に帰りませんね」

「ご了承下さい。と言いましたが?」

「了承した覚えはありませんが?」

「どこが不満なんです?」


澄ました顔はなかなか崩れない。

常に計算尽くしたペースで生きているのだ。

経験がモノを言うのならば勝てる術はない。

言うなれば、彼は不老不死。

年の功とはよく言ったものだ。


「土足で上がるし」

「すぐ直しました」

「日本に来た事ないんですか?」

「だから、すぐ直しました」


悪びれる様子はない。

カチンときたが構ってる場合でもなくそのままスルー。

勝手に居着かれたのだから未だに仲良しとはいかなくて当然だ。

それに…

ただの居候ではない。

鈴子の魂を狙う悪魔なのだ。



悪魔、ねぇ……

なんか見慣れてきちゃったんだよね。

…ちょっと変な普通の人?みたいな。

今のとこうるさいだけで何もそれらしい事もしないし。

貰うもの貰わなきゃ何もしない、的な?

ホストじゃないんだから…なんてね…



ふっ、と卑屈な溜め息が出た。

疲れるているらしい。


「言いたい事が全て顔に出ていますが」

「…おっ、と」

「単純で分りやすいと言うのもデータ通りですね」


真後ろでファイル片手に佇む水野。

一瞬背中がゾクリとした。

いるなら言えよ。



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