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「悪魔さん、いくら待っても契約はしませんよ」

「構いません。貴方の一生は私とって一瞬の時間に等しいのですから」


時間の流れが違う。

当然、感覚も違うのだ。

鈴子には貴重で無駄にしたくない時間も彼には一瞬。

それはきっと事実だ。


「私…ご飯、作らないと…」

「おや?親御さんは?」

「旅行に行ってていないの」

「ほう。なんなら食事を作ってくれる人もご用意でしますよ?契約して頂ければね」

「しません!!」

「料理は出来るんです?」

「………」


悪魔の茶々に腹を立てた。

痛いところをついてくる。


「私が手伝って差し上げましょうか?」

「だから契約しろと?」

「いえ、これはお世話になる身での礼儀です」

「…お願いします」


結局ほとんど悪魔が作ってしまった。

しかも意外に美味しい

鈴子は何だか可笑しくて笑ってしまった。



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