私は啓太の元へ駆け寄った。


「啓太!啓太!啓太!啓太!目覚まして!啓太あーーーーーーーーーーー!」



揺さぶったが啓太は目を覚まさない。

啓太…お願い死なないで…神様お願いします啓太を助けて―…

啓太の手が微かに動いた。
ピクッ



「啓太!?大丈夫?死なないで…」


うっすらと啓太は目をあけた。




「さ…やか。……ごめ…んな?俺もう……だ…め…かもし…れない…。紗香…幸せに…な…れよ。早く救急車呼んで…。手術したいんだ」


啓太は目を閉じた。
まだ心臓は動いていた。
ゆっくりと動く心臓。


「分かった分かった。救急車呼ぶから。」