「じゃあ、ここだから…。
ありがとう。優哉君。」


「いや、ぼくこそ。」


手を振り、改札口に定期をかざそうとするサキ。
しかし思い出したようにもどってきた。


「質問いい??

そういえばさ、あたしの名前…。
佐伯 伊央[さえき いお]だよ?」


分かるよというような顔をする優哉。


「だって昔からサキって…。」

「さえきだから…。
読みにくくてさ。」



ふっと笑ってやっぱりと言ったあと、改札口にもどるサキ。



「まって!!」

今度は優哉が呼びとめた。