久弥は何度も何度も「美味しい」と言って箸を進めた。



「ただいま……お客さんかい?」



「あら、あなた。お帰りなさい」




リビングの入り口にはお父さんが立っていた。



久弥は箸を置いて席から立ち、深々と頭を下げた。



「はじめまして。海藤久弥と申します。夜分遅くにお邪魔しています」


「海藤……?」



お父さんは久弥の名前を聞くと少し疑問の顔を見せた。



「お父さん?」


「あっ、失礼。海藤さん、頭をあげてください。サクの父です」


お母さんはウキウキした顔でお父さんに近付いた。



また変なこと言わないでよね!!!



「お父さん。海藤さんはサクのね……」


「友達だろ?」



へっ!?友達!?