突然の登場にあたしは驚いて口を開けたままだ。


「あんた、なんで……」


「塚原、桜。忘れもの届けに来たんだよ?」


そう言った男の綺麗で長い指先にはあたしのカードキーが挟まれていた。


カードキーには名前が印字されている。


だからこいつはあたしの名前がわかったのか……。


んっ?ってことは……。



「あんた、あたしがホテルでカードキー落としてたときにすでにカードキー拾ってたわね!!!」


「まぁね、返そうと思ったけど忘れてた」


ニヤリと笑ったその顔を見て、忘れてた訳じゃないと確信する。