「「ご馳走様でした」」

たぬきちの月見うどんに満足してあたしたちは会社へ戻った。


「……だから、三橋。そうは言ってももう締め切りまで期日ないぞ?」


「あとボーカルだけなんで待ってくださいよぉ!!!」


会社に戻って残りの休憩時間で煙草を吸いに行こうとすると三橋と編集長が揉めていた。



「何かあったんですか?」


その様子を見ていた先輩に尋ねてみた。


「あぁ、三橋のインタビュー相手がなかなかうまく捕まらないんだって」


「インタビューって誰っすか?」


一緒に事の成り行きを見ていた亮太も聞いてきた。


「Galfia<ガルフィア>のボーカル。他のメンバーのインタビューは終わってるけどボーカルだけ捕まらないんだって」


Galfia?


「捕まらないって、アポ取ってるんですよね?」


「取ってるらしいけど……向こうのマネージャーも“ボーカルは自由な人間ですから”って困ってるんだって」



「……ねぇ、」



「なんだよ、サク」


「Galfiaって、何?」



あたしが疑問を投げ掛けたら社内が一瞬、止まった。