「海藤グループって知ってるだろ？」


海藤グループって、あの海藤グループ？


ホテル経営から外食産業。


他にも多数の事業で成功している大規模な会社だ。



それが海藤グループ……。


そこまで考えてハット気付く。


「まさか……」


「そう、そのまさか。Galfiaのボーカルでお前の彼氏、海藤久弥は海藤グループの次期後継者だ」


「な、んで……そんな大企業の後継者がバンドのボーカルを？」


「あいつを音楽の世界に誘ったのはこの俺だ」


蒼さんは過去をゆっくりと話始めた。


「久弥とは中学の同級生で、その頃からあいつは後継者になるために教育を受けていた。毎日毎日勉強勉強。久弥には友達が一人もいなかった」



嘘、今の久弥からはその姿が想像がつかない。



「俺はその頃にはギター弾いてて、ただバンドメンバーの実力がなくてほぼ活動はしていなかった。だけど、音楽の授業で初めて久弥の歌声を聞いたとき、鳥肌が立った。こいつとなら頂点取れると思ったよ」


蒼さんは子どものように当時の様子を語った。