でも話したことは私の
ことばかりで、彼は
なにひとつ自分のことを
喋らなかった。名前すら
聞けなかった。

でも、敬語はなくなったし
からこれは進歩かな?
美月ちゃんとか呼んで
くれるし♪

気が付けば時間は夜9時。
ファミレスを出て私は彼と
歩いていた。


「今日ありがとね。」

「いいよ!」

帰りたくない。

「じゃあ、あたしこっちだから。
ばいばい。」

「またな!」

あぁ…アドレスくらい
聞くべきだったよね。


……やだ。帰りたくない!

私が振り返ると彼も
振り返っていた。

彼は私のほうに小走りできた。

自転車はそこに停めた。
道端だけど。