「はあ。ファードったら・・・・月華様ごめんなさいね?」

「いえ、大丈夫です。」

そうは言ってもやはりファードの態度が気になる。

少しくらい月華の表情を見てメルフェが声を掛ける。

「そういえば月華様の着ている服はなんですの?」

「え、これですか?着物です。」

「キモノ?」

私が答えるとメルフェは不思議そうに呟いた。

「はい。これは私の暮していた国の衣装なんです。」

「そうなんですか。袖が長いし、裾もドレスと違って広がってはいないんですのね。」

「どれす?」

「この国の衣装だ。」

不思議そうに呟いた月華の問いにダルシェが答えた。

「そうなんだ。私そのドレスという衣装に着替えたほうがいいかしら?」

「どうしてだ?」

「だってここはあなたの屋敷だし。この格好貴方たちからして見れば奇妙でしょ?」

そう言って少し切なそうに月華は微笑んだ。
まるで自分の存在そのものが奇妙だと言いたげな瞳をしていた。