わざとらしく、うやうやしく言ったのは夏川でも分かったか、きっ、とこちらをにらみつけた。


けど、雷が鳴って目がタレ目になる。


「怖い?こんなものが?」


「誰だって怖いものはあるのよ」


「そうですよね。何せ、あなたの親は雷に打たれて逝ってしまわれたのですから」


「な、ん……」


「あなたのことで知らないことはありませんよ、夏川璃苑」


愕然とする表情につけ加えておく。


彼女の父はゴルフ最中に不運にも雷に打たれて亡くなってしまった。

それ以来、夏川の嫌いなもの――親の敵と恐怖の象徴として雷がある。