12月の突然の冷たい雨が、ぽつぽつと降り始めた。

だけど、傘をさす気にはなれない。

あれから2年。
君を失ってもうそれくらいか。

せっかく焚いた線香は雨に消されてしまった。

あの日もこんな雨の日だった。

あの日、俺は大切なものを二つ失ってしまった。

美奈子、そして君のなかにいたまだ名前も持たない子供。

あの忌ま忌ましい事故から、俺の時間は止まってしまった。

冷たい雨は体の熱を奪っていった。

君のいない世界は、あまりにも冷たい。