「賢が空也を連れてあとから来るわ」

 「そうなんですか…ありがとうございます」


 そういって弥英ちゃんはぺこっと頭を下げた。

 それを見てほのかさんの目はうるみ始めた。



 そのあとも俺が知らないような奈那子さんの知り合いが葬儀場へと集まってきた。

 あたふたしているうちに通夜は終わった。



 「弥英ちゃん、帰りましょう?今日は私たちが一緒にいるわ」


 そういって母さんは弥英ちゃんに微笑みかけた。

 すると弥英ちゃんもこくんとうなずいた。


 「母さん、俺は電車で帰るよ。弥英ちゃんよろしくね」


 俺がそういって葬儀場を去ろうとすると誰かに引っ張られた。


 「和くん、帰っちゃうの?」


 そこには俺の喪服の裾をつかむ弥英ちゃんがいた。

 俺は弥英ちゃんの目線に合わせるようにかがみ、弥英ちゃんの頭を優しく撫でた。


 「さすがに5人で寝るのは大変だしね。それに俺の家近いし」


 そういって笑いかけても弥英ちゃんは顔を上げなかった。