「た、高山君…」
陸斗君が怒った表情で来た。
「さっさと紐解け。足見せてみろ、桜沢。」
「…え?」
「…早く。」
「は、はい…」
私は紐を解き、靴下を脱ぎ、痛む方の足を陸斗君に見せる。
すると
「赤いじゃねぇか。」
陸斗君は私の足に触れ、言う。
「うっ…」
触られたとたん、再び足が痛み始める。
すると
「何で続けた?」
陸斗君が天宮さんに冷たい口調で聞く。
「た、高山く…」
「それに、桜沢にきつい事言っただろ。」
「…え…」
「桜沢が言えなかったのは、お前がそんな態度とるからだ。」
陸斗君は怒ってる。
「だ、大丈夫だよ!陸斗君!我慢した私が悪いの…天宮さんは…」
「お前は黙ってろ、桜沢。」
「陸斗君…」
「ちゃんと桜沢の気持ちも考えて行動しろよ。」
陸斗君が言うと、天宮さんは黙り込んだ。
すると
「先生!こいつ、足痛めたみたいなんで…保健室連れて行きます。」
陸斗君が先生に言う。
「だ、大丈夫だよ!陸斗君。一人で行ける。保健室まで遠くないし…」
「だめだ。お前はすぐ無理するからな。」
「あ、ありがとう…」
「歩けるか?」
「だ、大丈夫…」
陸斗君があんな怒ったの初めて見たかも…。
陸斗君は気付いてたんだ。
「…っ…」
「これで大丈夫だ。湿布貼っとけば何とかなるだろう。」
「あ、ありがとう…陸斗君!」
保健室の先生が不在な為、陸斗君が私の足を手当てしてくれた。
「とりあえず、今週は体育は休んどけ。」
「は、はい…」
「無茶するなよ?」
「う、うん!」
「天宮にはちゃんと俺から言っとくから。」
「…え…」
「また足痛めたら辛いだろ。」
「大丈夫!我慢しないようにするから。」
「なら、良いが…」
「ありがとう、心配してくれて。」
私が言うと、陸斗君は私の頭を優しく撫でる。
「当たり前。友達なんだからな。」
友達…。
「さて、そろそろ体育館戻ろ?」
「ああ。」
陸斗君に優しくされると、たまらなく嬉しい。
心配かけてこんな事思うのはいけないけど…
例え、それが友達の優しさでも…。
それでも良い…。
優しくされる事が
ただ、嬉しいんだ。
その後は体育館に戻り、
私は見学する。
「陸斗!」
「おぅ!」
陸斗君はリレーの練習をしていた。
カッコイイなぁ…。
気付いたら、目で追ってるんだよね。
陸斗君、ごめんね。
友達として頑張るって言ったのに…
やっぱり、友達として見れないんだ。
陸斗君が他の人を好きだと聞いて、素直に応援なんてできないの…。
辛いんだ…。
「美鈴、大丈夫?」
「うん!」
あっという間に
体育大会当日。
体育大会の数日前から
私は練習に復帰。
天宮さんも陸斗君に言われたからか、私に合わせるようになった。
けど…
やっぱり、私に対する話し方は冷たい。
やっぱり、陸斗君の事…
そうだよね。
お願い聞けなかったし…
仕方ないよね。
けど、
何を言われても私は…
陸斗君を諦めるつもりはないんだ。
ちゃんと好きでいたい。
やっぱり、私は…
頑張らなきゃ。
諦めるのも離れるのも
無理だから。
だったら
最後まで陸斗君に
頑張りたい。
陸斗君が違う誰かと
付き合っちゃうのは
嫌だから…。
やっと定まってきた
私の気持ち。
友達なまま、もやもやしちゃだめな気がする。
だから
開会式が終わると、
私達は応援席へ。
「陸斗、たくさん出るんだな?今年も。」
「ああ。」
今年も陸斗君の活躍がたくさん見れるんだ…。
よ、よし!
「頑張って!無理しちゃだめだよ?」
私は陸斗君に言う。
私は応援を頑張る!
「サンキュー、桜沢。頑張るよ。」
陸斗君は笑って言う。
「わ、私は応援を頑張る!」
「おぅ。」
陸斗君はそう言うと、応援席から離れる。
頑張れ、陸斗君!
「高山くーん!」
「頑張って!」
バスケの試合が始まると、陸斗君は大活躍。
女子みんなが陸斗君を応援する。
よ、よし!
「が、頑張れ!陸斗君!」
私は頑張って大声で陸斗君に言う。
私は応援頑張るんだ。
…あ…
陸斗君はどんどん点を入れていく。
やっぱりすごいよ!
「か、カッコイイ…」
私が言うと、理世ちゃんが笑う。
「美鈴ってば。」
陸斗君の何事も全て完璧にこなすところが好き。
すっごくカッコイイんだ。
頑張ってる陸斗君を見るのが私は好きなんだ。
その後も、陸斗君の活躍でうちのクラスは絶好調に。
「美鈴ちゃん!俺、頑張ってくる!見ててね?」
サッカーの試合開始が近付くと、浩太君が私に言う。
「頑張って!浩太君。」
「ありがとう!美鈴ちゃんの為に頑張るからね!」
浩太君はそう言うと、
応援席から離れた。
こ、浩太君…。
そして
…わ…
浩太君もすごい!
二人の活躍で体育大会はかなり好調!
だけど
…あ…
あっという間に二人三脚の時間。
かなり緊張!
お腹痛いかも…。
「疲れたな、陸斗。」
「ああ。」
二人が応援席に戻ってきた。
やばい、
ドキドキしてきた!
「あ、美鈴ちゃんがパンクしてる…」
浩太君が笑いながら言う。
やばい、怖い…。
二人三脚ってペア一組が遅れたら、後が大変だし…。
うぅ…
だけど
「大丈夫だ。桜沢ならやれる。」
陸斗君は私の頭を優しく撫で、言う。
…え…
「陸斗君…」
「桜沢、頑張って練習してたの知ってるから。」
陸斗君…。
「大丈夫だよ、美鈴ちゃん!頑張れっ。」
「美鈴、ファイト!」
「理世ちゃん、浩太君…」
みんな…。
「あ、ありがとう!私、頑張る!」
私が言うと、みんなが笑う。
大丈夫、大丈夫…。
「桜沢!」
私が応援席から離れようとすると、陸斗君が私を呼ぶ。
私は振り向く。
すると
「リラックスして無理せず、頑張れよ。」
…わ…
「う、うん!」
私が言うと、陸斗君は笑う。
そんな事言われたら
やばいよ。
頑張ろう!
「桜沢さん、足引っ張らないでよね?」
列に私が行くと、天宮さんが私に言う。
だけど
「大丈夫!一緒に頑張りましょうね。」
私は笑って言う。
すると
天宮さんはポカンとした表情で私を見る。
大丈夫だよ、私。
頑張れる!
出番が来て、笛が鳴ると走り出す。
リズムに合わせてペースを乱さないように走る。
リラックスして、
無理しないで頑張る。
転ばないように。
そして
結果は2位。
だけど、
転ばずちゃんとできたから私は満足だった。
そして
――昼休み。
「すごい!」
「豪華だな…」
「今日は特別にね。」
私達はお弁当を食べる。
今日はみんなの分も作ったからいつもより豪華。
「美味いよ、美鈴ちゃん!」
「美味しいよ!美鈴。」
「さすが桜沢。みんな美味い。」
「あ、ありがとう!」
やっぱりみんなに食べて喜んでもらえると嬉しいな。
「美鈴ちゃん、良かったね!二人三脚。」
浩太君が私に言う。
「転ばなかったし、いつもよりリラックスしてできたよ!」
私は笑って言う。
「美鈴は頑張ってたからね。」
「ううん!みんなのおかげだよ!みんなが応援してくれたから。ありがとう。」
私はみんなに言う。
すると
「けど、頑張ったのは桜沢だよ。」
陸斗君が言う。
「陸斗君…」
「よく頑張りました。」
陸斗君が言う。