「彼氏さん、もっと彼女さんに寄って!」


おばあさんが陸斗君に言う。


…え…


か、彼女さん…。


ち、違うのに!


だけど

陸斗君は私に寄る。


――ドキッ。



「行きますよー!笑って!」


おじいさんが言うと、私達はカメラを見る。



いつもより近い距離にすごくドキドキして…


上手く笑えたか分からない。


いっぱいいっぱい。



「ありがとうございました!」


陸斗君が言うと、老夫婦はカメラを陸斗君に返し、笑って手を振りその場を離れた。



可愛い夫婦だったなぁ。


誤解は解けないままだったけど…。



「さて、たくさん見たし…そろそろ行くか。」


「へ?」


「昼飯。各自自由みたいだからレストランに行くしかないな。」


…あ…


「わ、私…みんなのお弁当作ってきちゃった…」