そんな友達に、お姉ちゃんは分かりやすく顔を引きつらせる。


「ちょえもんいい加減うるさい」

そんな空気を読みとったように、無機質で癖のない声が後ろから聞こえて、改めて私はちょんまげさんの奥を覗いた。

ちらちらとは見えていたんだけど、ちょんまげさんの背が大きくてはっきりと見えなかったその二人。

二人とも黒髪で、背はわりかし高め。

一人は細身で無表情の男の人で、

もう一人は大人っぽくて、特に背が高い人。


無機質な声を放った方は、どうやら無表情の男の人らしく、ぼーっと感情のない瞳でちょんまげさんを眺めてる。

だけど背の高い人はなぜだか後ろを向いていて。




「そうよー! うるさいのよちょえもんは。なんで居るのよ。プライバシーの侵害だわ!」


さっきの言葉に乗ったお姉ちゃんは、勢いよく睨みはじめる。


「お、お姉ちゃん…」


そういえばちょえもんってなんだろう。

シュールなそのあだ名に、一瞬噴出しそうになった。