「ちょちょちょちょっとそれは待って! 陽が高校卒業するまで!」
「ええっ。で、でも信用できるんでしょ…? 高校卒業なんて全然先だし…」
「しししし信用できるっちゃ出来るんだけどね…? ほら、ロクな奴らいないし…」
「あれ、花(ハナ)ちゃんじゃん!やっほー」
なれなれしく呼ばれたその名前に、お姉ちゃんはわずかにビクン、肩を揺らした。
それに気付いて、私もお姉ちゃんから顔を上げる。
そしてお姉ちゃんからはいつの間にか真っ黒いオーラ出ていて、今にも視線で人を殺しそうだ。
そんなお姉ちゃんと私が声のした方を向くのは同時だったようで、
「うわあ…」
私が『誰?』とつぶやくより先に、お姉ちゃんの溜息が混じったなんともいえない声がもれた。
『花ちゃん』とかわいらしく呼ばれたその人はまさにお姉ちゃんなわけで。
止める暇もなく、お姉ちゃんをそう呼んだ"その人達"は私達の席の方へ向かってきた。
「何やってんのー? あ!あれ、妹ちゃんとデートかー。ラブラブだなぁ」
さっきの声の人はどうやらこの人らしい。
少し赤めの髪をした、失礼だけどちゃらちゃらした人。
それから前髪を一つにまとめて、ちょんまげみたいにしてる。
けど、お姉ちゃんとは違った明るい人。
多分これが、お姉ちゃんの友達。