…その時だった。


「なぁ、」

「…ぇ」


突然、隣にいた人に話しかけられた。

見ると…さっき目があった男の人。

二十歳前半…かな。


「これ、使う?」


…は?


差し出されたのは、ビニール傘。


「傘ないんだろ?」

「そうですけど…いいです。困ってません」


めちゃくちゃな噓をついた。