「俺なんかを好きになってくれて、ありがとな」
「…うん…っ!」
「…帰ろう、伊藤」
伊藤はコクンと頷いた。
そんな伊藤の手を掴み、歩き出した。
あぁ…今まで、伊藤をちゃんと見た事がなかったからかもしれない。
初めて…
コイツの手が小さいことを知った──
コイツは、”おんな”なんだ──…。
いつもの駅まで伊藤を送った。
「ここまでで、ごめんな…?」
「ううん…。今日は、ありがとう。それより…いいの? 時間…」
「…あぁ、大丈夫じゃないけど…。今日は、特別なっ」
「…//」
「んじゃ、俺行くけど…ほい」
俺は鞄の中からタオルを出し、伊藤に渡した。