「確かに、あいつより伊藤の方が俺のこと知ってるかもしれない。正直…俺だって、もしかしたらあいつより、伊藤の事の方が知ってる事が多いかもしれない。だけど、そんなの関係ないんだよ。あいつに惚れたのなんて一目惚れと一緒だし、付き合い始めたのは出会ってたったの五ヶ月だっ」
「…」
「それでも…俺は、あいつの事が好きでしょうがねぇんだ。知っていく度に、好きになる…。初めてなんだよ、こんなに…誰かを好きになったのは」
「…それは…”あの事”が、あった…から…?」
俺は頷いた。
そう、”あの事”から──
俺は、人を好きになるのが怖かった。
「伊藤が、ずっと俺をそういう風に見てくれてたんなら、すっげぇ嬉しい。サンキュ」
「///」
「だけど…伊藤の気持ちには応えられない、ごめんな」
「…うん…」
「…今まで、気持ちに気づいてやれなくて、ごめん」
「…知ってるもん…あんたが、鈍感だってことぐらい…」
「そっかっ!」