「直紀先輩に、よろしくな」

考えれば…あたしと直紀って二つしか変わらないんだよね。

あたしが高一の時、直紀は高三…会った事、一回はあるのかなぁ?


「じゃ、また」

坂本が立ち上がると、ちょうど千里が戻ってきた。

坂本は自分の席に戻って行く。

「優、どうしたの? 坂本と話すなんて」

「話してないよ。向こうが一方的に喋って行った」

まぁ、ちょっとは話したけどさ。

「ふぅん…。優が男子と話してるから、何があったのかな、って」

「何もないよ…」

「ってか、橘 直紀って…あんたお兄さんなんかいたっけ?」

「いないよ、そんなの」

「…坂本かわいそ」

「あっちが勝手に勘違いしたんだし。直紀とは、たまたま名字が同じだけー」


そう言うと、千里はちょっと驚いた表情をした。