今日の俺は負けられなくて。


殴られても怯むことなく、


向かって行った。


こいつらは生きて帰せねえ。


そんな思いで殴り続けた。


ふと地面を見ると、


カメラが落ちていて。


何でこんな所にカメラが、と


思ったけど、これで何かするとしたら


撮影しかなくて。


もしかしたら朱里が撮られたのかと


思うと、壊すしか思いつかなかった。


粉々になったカメラと同時くらいに、


俺に殴られた奴らも地面に伏せた。


そして、悔しそうに


公園を出て行った。






「朱里!」





やっと辿り着いた。


やっと見つけ出せた。


俺は朱里に駆け寄ると、


口の中に入っていた布を


地面に投げ捨てた。






「十夜…どうして、」





「何も話すな」





朱里の目の横には、


涙の後がついていた。


俺のせいで、


朱里が傷付いている。


朱里は何も悪くねえのに。


何で…何で。





「ごめん、朱里」






俺は朱里の体を起こし、


力いっぱい抱きしめた。


見つけられた安堵感と、


情けなさで少し手が震えた。


朱里を自分から離すと、


シャツのボタンが開いていて。


俺は何も言わずに、


そのボタンを閉めた。


男が乱暴に開けただろうボタンを、


朱里はじっと見つめている。





「謝んないでよ…、来てくれて、嬉しいのに」





「俺がカタつけっから」





絶対俺が見つけて、


立てないくらいに殴って。


自分のやったことを、


後悔させてやる。


そこでふと頭をよぎった。





「朱里、丘谷さんに連絡しろ」





丘谷さんの存在。





「え?」






何を言ってるの、と


言いたげだったけど。


何かを察したのか、


携帯を取り出し電話をかけ始めた。


その姿を見て、


俺何やってんだって、


そう思って。





「いや、全然大丈夫です。何にもないんで」




そう朱里が言った瞬間、


来ないんだって察して。


一瞬で頭がぶちって。