「何で俺なんだよ」
「何だよ。嫌だってのか?」
「嫌ってか、お前のクラスの生徒使えばいいだろーが」
「あいつらいい子ばっかりだから使いにくいんだわ」
1月終わり。
帰りに担任に呼び出されて、
職員室に行けば、
関根が呼びつけたらしく。
こうして口論になってるわけで。
「てゆーか、生徒に配るもの、生徒の俺に手伝わせるって間違ってね?」
「お前はいいんだ。嬉しいだろ、特別だぞ」
にひひ、と笑う関根は、
まじで最低な男。
何でこいつが人気なのか、
不思議で仕方ねえ。
「お前さ、最近どうなの?」
「何が?」
「彼女と別れたのか?」
「あ?関係ねえだろ」
関根は普通に、
こういう話題を出してくる。
話したくもないのに、
簡単に入りこんで来る。
「冷たいな、十夜。俺らの仲…」
「お前まじうっさい。もう帰るわ」
作業が残り少しになった所で、
俺は職員室を飛び出した。
本当関根は、今までの教師の中で、
まじでいいのか、ってくらいの
適当な男。
だけど、嫌いじゃねーんだよな。
そう思いながら階段を上がる。
あー、だるかった。
そう思ってる時。
「わっ…十夜、」
「おー、何してんだ」
寒そうに手を擦る朱里が、
図書室から出て来てて。
本を返しに来たって言うから、
似合わねえって言ってしまった。
何か自分が関根化した気がして、
身震いした。
「何か、あったの?」
きょとん、とした顔で
俺を見つめる朱里。