12月28日。


寂しいクリスマスを終え、


リビングで年賀状を書く。





「十夜、早く書いてよ。1日に着かなくなるじゃない」





「はいはい、うっせぇな」





こたつに入りながら、


テレビを見もって年賀状。


ばばあにごたごた言われて、


少しイライラ気味。


毎年毎年、同じことの繰り返し。


誰に対しても同じ文句。


輝や力哉にはメールでいいし。


他の奴らもメールで済むし。


朱里には。


そういえば、


明日って朱里の誕生日だ。






「十夜、どこ行くのよ」





「年賀状、後で書くから」





急いで自分の部屋に行く。


29日まで、後10分。


去年は。


去年は。


そうだった、朱里の誕生日。


咲坂と一緒だったんだ。


去年も朱里に電話しようとして、


29日になる前から咲坂から


電話があったから。


だから切り終えた後に、


すぐメール打ったんだっけ。


そんなことを考えながら、


無機質な呼び出し音を


静かに聞く。


もう0時丁度になってるのに、


朱里は一向に出ようとしない。


もしかして出られない訳があんのか。


もしかして気付いてないのか。


色んな事が頭によぎって。


もう諦めよう。


そう思った時。







『もしも…し』






不安気な。


でも心なしか嬉しそうな。


朱里の声が聞こえた。






「遅ぇって、出るの」





出てくれたことで、


ひどく安心した声が


出てしまった。


出てくれないかと思ったから。


だから、本当に、嬉しくて。








『ご、ごめんっ』






謝る朱里に、


すかさず言葉をかける。






「何してた?」





『年賀状書いてた。今年書くの遅くて』





「俺も。面倒だよな、年賀状って」






年賀状書いてんだ、って。


思いながら、去年のことを思い出して。