「うわぁ!すっごい!」





人で溢れ返っている。


着いた場所は、駅から


数分歩いた所にある


大きなテーマパーク。


前に1度、家族で来たことあるけど、


何年も前の話で。


あの頃とは雰囲気も違うし、


あるものも全部違った。





「えっと、」





料金所で大人料金を確認すると。





「いい、出すから」





また諒司先輩が財布を開ける。





「いいですよ、これくらい」





「まじで、出させて」





諒司先輩が、


悲しそうな声で。


そう言ったから。






「ありがとう、」






思わず自分の財布を


鞄にしまい直した。






「ほい、パンフレット」






「広いね、すごく」






「朱里の乗りたいものから乗ろう!」





「え、ちょっと待って。うーん」






大きくてクルクル回る


ジェットコースターに、


大人気の3Dアクション。


それに可愛いお土産屋さんと、


色とりどりの観覧車。


どれも大好きで、


どれも行きたくて。


迷ってるあたしを見かねてか。






「全部乗ろう。な?」





にっこり笑って、そう言うと。


ほら、行くぞ。と。


あたしの手を引いて、


歩き出した。


少し駆け足な彼に、


あたしは合わせるように


急いで歩を進める。


思ったよりスムーズに


進み、気付けば半分の


アトラクションを


回っていた。







「ね、お土産見たい」





「いいよ。ここ入るか」






休憩も兼ねて、


お土産屋さんに入る。


可愛いぬいぐるみや、


キーホルダー。


お菓子やお弁当箱まである。






「わ、これいいなぁ」






「ん?」






色々見た中で、


1番可愛いと思った。


ペアの、キーホルダー。


ピンクと青の、


テーマパークのキャラクターが


人形になってるやつで。