「素直でいいね」
言われた通り、
手を後ろにやると。
どこから出て来たのか、
ロープのような紐で、
きつく縛られた。
5人の男の人は、
あたしをじっと囲む。
寒いのに、纏わりつく
空気がべたべたして気持ちが悪い。
「じゃ、予定通りってことで」
了解、とそれぞれ言うと、
1人は空き地の入口に歩いて行った。
気を抜いた瞬間、
あたしは急に押し倒され、
ベンチの上に寝かされた。
「痛くはしないからさ」
隣に立っている男の人が、
カメラを構えてこっちに向けている。
そして1人はあたしの上に乗り、
1人はあたしの足を押さえ始めた。
もう1人の人は、入口に向かって
歩いて行ったり、カメラの人の
隣に立ったりしていて。
これから何が起こるのか。
何をされるのか予想はつく。
もう怖くて、怖くて、
仕方がなくて。
「ん゛~…っ、めてっ!やめて!」
何とか布を取り出せたあたしは、
声を出してみた。
何の目的なのか、知りたくて。
だけど、願いは届かなくて。
「静かにしろや」
上に乗った人が、
あたしの頬を力いっぱい殴った。
瞬間、何が起きたのか
理解できなくて。
放心状態のあたしに、
また布を詰める。
地面に落ちたせいで、
砂や小さい石が口に混ざる。
「出来ればこんなことしたくねーんだけどさ」
「里菜のためだし」
「いや、アズサとミキのためだけど」
アズサやミキ、という人は
知らなかったけど。
里菜って。あの里菜ちゃんなの?
あたしの名前も知られてて、
こんなことさせるって。
あたしに恨みがある人なの?
でも里菜ちゃんが、あたしに
恨みを持ってるの?
それにアズサって人や、
ミキって人は誰?
あたし、何で…。
そんなことを考えながら、
もう抵抗すら出来なくて。