ガラガラッ―――…








さっきとは違う、勢いのついた


ドアの開く音がした。


びっくりして、声が出せないあたし。


目の前のドアがいきなり開いて驚いたのと、


そこにいるのが十夜だったから。













「とお…や…っ」








「何、してんだお前」









さっきまで外にいて、


元気よく走っていた十夜が


どうしてここにいるのか。









「え、ちょ…っとお腹が痛くて…」






「ふーん…」





「十夜こそ、何した…」





「怪我。つっても、大した事ねぇ」









十夜の返事を聞くよりも先に


状態に気付いた。


右手の肘から血が出てる。


転んだことを示すかのように、


グラウンドの砂がたくさん


ついていた。












「ちょ…、血!血!」






「うるせぇ、朱里。ガキか、お前は」










本気で黙れと言われて、


あたしは咄嗟に両手で口を塞ぐ。


だけど、肘から血が…。










「フジ子は?」







「フジ子ちゃん、仕事だって…出てっちゃった」








フジ子と言うのは、さっきの先生。


名前が親しみやすくて、


みんなから"フジ子"と


呼ばれることが多い。