「何言ってんの…、他の色応援したって、意味ないじゃん」
素っ気ない朱里。
朱里さん、それは。
ないんじゃないっすかね。
少し、衝撃を受ける。
ごもっとも。
でも、何か、腹立つじゃん?
「それもそうだな」
とか何とか言って。
テントに着いてすぐ。
「中山、こいつのイス…持ってきて」
持ってこさせて。
「は、何で?」
「いいから、早く」
持って来たイスを、
俺自らセッティングして。
「俺の応援。ここならばっちり、見れんだろうが」
こうなりゃ意地だよ。
ここで、座って。
俺だけ見とけ。
「じゃ、行くから。大人しくしてろ」
そう言って、
訳分かんないと言いたげな
朱里の額を突いて。
自分のテントに戻った。
帰りながら、
リレー頑張ろうとか
1人で闘志燃やしてて。
俺らしくないなって考えながら、
また自分に対して笑えてきた。
「え、っと…」
ラスト2種目。
俺は招集がかかるまで、
クラスのやつらとテントで
わいわいがやがや。
そんな時に聞こえてきた、
甘ったるい声。