保健室に入って、思ったこと。


救護の場所、あったよな。


フジ子、まさかそこにいた?


って俺、何か恥ずかしいことやっちゃった?


そんなことを考えながら、


誰もいない保健室のイスに座らせる。


こいつが俺にしてくれたみたいに、


俺も手当てをしてやる。


ガーゼと、消毒液と。


それから。


必要そうな物を探して、


取り出す。


いざ朱里を目の前にすると、


緊張して、


手にしている物を何回も


床に落とす。


だせえ、俺。


何てザマだ。







「あはは…、ちょっと、何してんの」






「うるせぇ…、笑うなよ…ったく」





ほら、笑われてんじゃん。


だっせえ、まじ。


そう思いながらも、


朱里に足を出させ。


俺なりに一生懸命手当てする。


痛そうに顔を歪める朱里。


俺は、やっぱりフジ子に任せれば


よかったと少し後悔。





「…よし、終わり。痛む、よな?」





手当てを終え、思わずそう尋ねる。


痛いに決まってるのに。


朱里は笑って。








「全然!痛くなくなったよ!」




ばかなこと、ほざきやがる。


でも俺に心配かけないように


笑ってんだろうなって思うと。


可愛いやつめ、って。


こっちが照れる。






「嘘つけ。じゃ、ここから1人で行け」





だから面白くなって、


苛めてしまう。


その場に朱里を残して、


ドアに向かう。


無理だよ!十夜!


待ってよ!


って言うかと思いきや。


しーんと、黙って何も言わない。