「おい、朱里。起きろ」
これ以上このまま寝られてたら。
ぶっ飛びそうな、俺の理性。
ばか女、考えろよな。
「…ふぇ?」
おまけに、可愛い顔で、
寝起きの顔を見せてくれる。
やっぱり、やっべえ。
来なきゃよかった。
「ったく、寝起き悪ぃ」
なーんて言って、
自分を保つ。
そうでもしなきゃ、
やってらんねえ。
朱里が、悪いんだぞ。
「な、何してんの…、十夜?」
驚いた顔で俺を見つめる。
少し嬉しそうでもあって。
「サボり。つまんねぇ授業だから」
そう淡々と言うと。
「ふーん……、」
なんて、素っ気ない返事。
嘘だろ、お前。
さっき嬉しそうな顔、
してただろーが。
「ってか、お前…授業いいのかよ」
ちょっとむかついたから、
俺も冷たく言ってやる。
だけど、そんな俺に。
「全然。あたし、天才だから」
そう言う、サボり女。
言ってろ、言ってろ。
「ちょ…、何よその顔!」
俺の対応が気に食わなかったのか、
声を荒げる朱里。
うるせーって、
今授業中だからさ。
少し黙ろうか。
「別に。天才そうだな、って」
軽くばかにしてる。
言った後に気付いたけど、
それはもう遅くて。