水着に着替えたあたしと海は、上に上着を羽織って、海が膨らませた浮き輪を抱えてペンションを出た。







ペンションから海の距離は歩いて五分もなく、




海に近くなっていくにつれて人が多くなっていく。





「離れんなよ?」



「うん!」





海としっかり手を繋ぎ、

あたしより断然背の高い海は、あたしを隠すように前を歩く。




そのおかげで、前から人がぶつかってくることもなくて……。






そんな優しい海の気遣いに、ついつい顔がニヤケてしまう。






海に着くと、さっきより人が増した。




「海、どこまで行くの?」



「おばちゃんが場所取っといてくれたから、そこまで行く」



「ふーん」





あたしは素っ気なく答えたものの、心の中では笑っていた。





だって、海がおばちゃんって……合ってなさすぎて笑える。




声に出ないように、海と手を繋いでいないほうの手で口を塞ぐ。






きっと顔を見ればすぐにわかる、あたしが笑いを堪えていることくらい。